建荷協からのお知らせ

厚生労働省労働基準局 安全衛生部安全課長の年頭所感を掲載しました。

2024年01月04日

年頭所感

 

 

厚生労働省 労働基準局安全衛生部

安全課長 小沼 宏治

 

 明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、平素より労働災害の減少に向けた行政施策の推進に御理解、御協力をいただき、厚く御礼申し上げます。本年も皆様にとってよき年でありますよう祈念申し上げます。

 

 さて、近年の労働災害の発生状況を見ますと、労働災害による死亡者数は減少しているものの、労働災害による休業4 日以上の死傷者数については、増加傾向にあります。これは労働災害発生率が高い高年齢労働者や外国人労働者が増加しているほか、我が国の大半を占める中小規模事業場において安全衛生に関する取組が必ずしも十分とは言えない状況があることなどが要因と受け止めており、業種別対策に加え、労働者の属性や事業場規模に着目した安全衛生対策への取組促進が必要不可欠となっております。

 

 このような状況を踏まえ、厚生労働省では、令和5 年度を初年度とする5 か年計画「第14次労働災害防止計画」を策定し、労働災害を少しでも減らし、労働者一人一人が安全で健康に働くことができる職場環境の実現を目指し、各種取組を推進しております。

 まず、業種別の労働災害防止対策の推進に係る取組として、建設業における墜落・転落災害防止対策の充実強化や製造業における施設、機械等に起因する災害防止のためのリスクアセスメントの適切な実施を始めとする対策の徹底を図っております。加えて、建設業、製造業以外の業種も含め、今後はデジタル技術への安全衛生分野における活用について議論するなど、DXの進展も踏まえた施策を推進してまいります。

 また、労働者の属性に着目した施策として、今後の更なる労働者の高齢化を見据え、「エイジフレンドリーガイドライン」に基づく高年齢労働者対策の徹底や、高齢者の職場環境を改善する中小企業事業者の取組に対する支援に加え、転倒災害等の防止を目的とした、身体機能の維持向上のための取組等を推進しており、これまで労働安全衛生分野との関わりがなかった専門家との連携等、裾野を広げた取組を展開してまいります。

 さらに、外国人の労働災害が増加傾向にあるため、外国人労働者の特徴である業務経験が比較的短い傾向にあること、日本語そのものの理解が不十分であること、コミュニケーション不足により職場の「危険」の伝達・理解が不足していることといった特徴を踏まえた対策として、技能講習補助教材等の作成、外国人労働者への安全衛生教育のためのやさしい日本語などの手法の提示、外国人労働者も含めた全労働者に対する危険の「見える化」のためのピクトグラム安全表示の開発を促進してまいります。

 

 また、車両系建設機械や車両系荷役運搬機械等の特定自主検査の対象となる機械を起因物とする労働災害も多く発生しております。これら機械での労働災害を減少させるためには、現場での安全な作業が行われることが重要ですが、その前提として、機械を安全に使用できるよう適切な検査・整備が必要となります。貴協会並びに会員事業者の皆様におかれては、引き続き適切な特定自主検査の実施に努めていただくようお願いします。

 

 最後に、労働災害を減少させるためには、皆様のたゆまぬ継続的な安全活動が重要です。各企業、業界団体、労働災害防止団体等関係者の皆様と一緒に更なる取組を進めてまいりたいと存じますので、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。