建荷協からのお知らせ

厚生労働省労働基準局 安全衛生部安全課長の年頭所感を掲載しました。

2023年01月04日

年頭所感

 

 

厚生労働省 労働基準局安全衛生部

安全課長 釜石 英雄

 

 明けましておめでとうございます。皆様方におかれましては、平素より労働安全衛生行政の推進につきまして、格別の御理解、御協力をいただいておりますことに厚く御礼申し上げます。

 令和4 年の労働災害発生状況の速報値では、「第13次労働災害防止計画」の目標に掲げる起算年である平成29年同期と比較して、新型コロナウイルスのり患による労働災害を除き、死亡者数は約15%減少しているものの、休業4日以上の死傷者数は約10%の増加となっています。

 死傷者数の内訳を業種別で見ると、これまで自主的な安全活動が活発に行われてきた製造業、建設業における死傷者数が長期的に減少している一方で、小売業や社会福祉施設を始めとする第三次産業における死傷者数が急増し、労働災害発生率(死傷年千人率)も増加傾向にあります。

 事故の型別で見ると、これまで多かった「墜落・転落」や「はさまれ・巻き込まれ」による死傷者数が長期的に見て減少している一方で、「転倒」や腰痛等の「動作の反動・無理な動作」といった労働者の作業行動に起因する労働災害による死傷者数が増加傾向にあります。

 以上のように、近年は、労働災害による死亡者数こそ減少しているものの、労働災害による休業4 日以上の死傷者数は、増加傾向にあります。また、労働災害発生率(死傷年千人率)が高い「60歳以上の高年齢労働者」、「外国人労働者」が増加しているほか、中小事業場での労働災害の発生が多数を占めており、業種別対策のみならず、労働者の属性や事業場規模に着目した安全衛生対策の取組促進が不可欠です。

 現在、令和5 年度を初年度とする5か年計画「第14次労働災害防止計画」の検討を進めています。

 検討に当たっては、死亡災害ゼロを目指し、建設業における墜落・転落災害防止対策、製造業における施設、設備、機械等に起因する災害防止のためのリスクアセスメントの適切な実施を始めとする対策の徹底を図るとともに、死傷災害の増加への対策として、今後の更なる労働者の高齢化を見据え、「エイジフレンドリーガイドライン」に基づく高年齢労働者対策の徹底や、転倒災害等の防止を目的とした、身体機能低下抑制のための取組、転倒防止の具体的手法の提示等に加え、第三次産業を中心として自主的な取組を社会的に評価し、その促進を図る「SAFEコンソーシアム」等新たな切り口による取組を推進していくことを念頭に置いております。

 さらに、外国人の労働災害が増加傾向にあるため、外国人労働者の特徴である業務経験が比較的短い傾向にあること、日本語そのものの理解が不十分であること、コミュニケーション不足により、職場の「危険」の伝達・理解が不足していることといった特徴を踏まえた対策として、技能講習補助教材等の作成、外国人労働者への効率的な・効果的な安全衛生教育のためのやさしい日本語などの手法の提示、外国人労働者も含めた労働者に対する危険の「見える化」のためのピクトグラム安全表示の開発を促進してまいります。

 最後に、労働災害を減少させるためには、皆様のたゆまぬ継続的な安全活動が重要です。各企業、業界団体、労働災害防止団体等関係者の皆様と一緒に更なる取組を進めてまいりたいと存じますので、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。